CKDという言葉を聞いたことはありますか?
CKDは慢性腎臓病のことで、「尿検査などでの腎障害、または糸球体濾過量(GFR)60未満が3ヶ月以上持続すること」と定義されています。尿検査中で最も重要なものは尿蛋白で、GFRは血液検査のクレアチニンから推定した推定糸球体濾過量(eGFR)を用います。
CKDの発症や進行には、高血圧症、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病や塩分の過剰摂取、飲酒、喫煙などの生活習慣などが強く関わり、CKDを放置すると人工透析になるばかりではなく、脳卒中や心筋梗塞などの心血管疾患を引き起こすことが知られています。生活習慣病の治療をしっかり行い、肥満や生活習慣の改善を促すことが発症予防に重要です。
CKDの原因疾患として重要なのは、透析導入が多い糖尿病性腎症や慢性糸球体腎炎、高血圧症が原因となる腎硬化症です。健診で尿蛋白やGFRの異常があれば、原因疾患を含めて治療の必要性を判断するために内科クリニックを受診する必要があります。クリニックでは各種検査で原因疾患を同定の上、尿蛋白とeGFRを組み合わせたCKDの重症度分類を行い、定期的に外来で経過観察していきます。
また①尿蛋白(2+)以上、②尿蛋白と尿潜血がともに(1+)以上、③eGFR50未満であれば、腎臓専門医を受診していただきます。当院でも専門医と連携し治療を行っており、CKDの重症化、透析予防のため外来管理を行っています。
糖尿病の方は糖尿病性腎症を早期に診断するため、蛋白尿が少ない段階で発見することが必要となります。尿検査では尿蛋白を(+)~(3+)の3段階評価を行っていますが、血液検査を尿検査をミックスした尿蛋白/クレアチニン比による尿蛋白量を実際に測定することで、微量アルブミン尿の段階での腎障害発見が可能となります。微量アルブミン尿は心血管疾患の危険因子であり、糖尿病治療ガイドラインでも定期的な検査が推奨されています。糖尿病で治療中の方はアルブミン尿検査の必要性をご理解して頂き、必要に応じ糖尿病連携手帳をかかりつけ医で確認するなど、自分のCKD重症度を知ることが重要です。
これまで腎臓のことはあまり気にされていなかった方も多かったと思いますが、患者さん自身もCKDの発症予防、早期発見、重症化予防をきちんと認識し、健康寿命を延ばすことができればと思います。