2020年から始まった新型ウイルス感染症(COVID-19)は、次々に新しい変異株に姿を変え、パンデミックの最中にあります。ウイルス流行から1年経過し、当院においても発熱患者を受け入れ、PCR検査などを行っていることから、現在までに分かっていることを数回に分けて説明したいと思います。
2019年12月に中国で集団発生した新型コロナウイルス感染症は全世界に拡大し、2020年夏頃よりウイルスの変異株としてアルファ株、ベータ株、ガンマ株などが世界各地で報告されています。現在はインド由来のデルタ株が猛威をふるっており、感染力が強く、重症化のリスクが高いウイルスに変化しており、皆様もいつ感染するのか、感染したら重症化しないのかと不安になっているかと思われます。特にデルタ株においてはワクチンの有効性に疑問をもたれる方がいらっしゃる方もいるかと思いますが、現時点でファイザー社製のワクチンの有効性は約88%、入院を予防する効果は約96%と報告されており、一定の防御効果があると考えられています。
一般に新型コロナウイルスの感染経路は飛沫感染が主体と考えらえれており、換気が悪い状況では咳やくしゃみなどがなくても感染すると考えられています。また飛沫したウイルスによる汚染されたものからの接触感染もあります。そのためマスクの着用や手洗い、消毒の敢行、3密(密集、密接、密閉)の回避が感染予防に重要となってきます。
ウイルスの潜伏期は1~14日であり、曝露から5日程度で発症すると言われています。感染可能期間は発症2日前~1週間程度と考えられていますが、ウイルス排出のピークを発症日に迎えるため、発症する前からかなりのウイルスを排出していることが感染を広げる要因にもなっています。
ひとまず今回はここまでとなります。次回は新型コロナウイルス感染症の臨床像についてお話ししたいと思います。