
以前にブログでも記載した「過敏性腸症候群(IBS)」について、今回詳しく話したいと思います。
最近、「お腹の痛みや調子が悪く、便秘や下痢などの排便異常が数か月以上持続する」と言われる患者様が来院されることが多く、この場合IBSの可能性があります。IBSは排便よって症状がやわらいだり、症状に伴って排便回数や便の形状がかわるといったことが特徴的な症状として知られています。
IBSは血液検査で異常がなく、大腸内視鏡検査で大腸に腫瘍や炎症がないことが大前提となりますが、どうしてIBSがおこるのでしょうか?腸には排便するための運動や知覚機能が備わっていますが、ストレスによって不安状態になると、腸の収縮運動亢進し、痛みを感じやすい知覚過敏状態となります。この状態が強くなるとIBSを発症しますが、はっきりとした原因は分かっていません。一方で感染性腸炎にかかった場合に回復期にIBSになりやすくなると言われています。
IBSは便の性状と頻度から、便秘型、下痢型、混合型、分類不能型の4つに分けられ、それぞれのタイプによって治療法が異なってきます。しかし、いずれのタイプにおいても、規則正しい食生活と、ストレスをためないよう睡眠、休養をとること、適度な運動などが重要になってきます。食生活に関しては刺激物を控え、ヨーグルトなどの乳酸菌食品や食物繊維が多く入った食事をとるよう心がけましょう。生活習慣を改善してもよくならない場合にはそれぞれのタイプにあった薬物治療を行ってまいりますが、ストレスをためないような心理的アプローチも重要であり、抗うつ薬や抗不安薬が効果があることもあります。
また機能性ディスペシアや逆流性食道炎を合併することも多く、様々な症状を訴えられる方も多くみられます。おなかの症状でお悩みの方は、一度医療機関を受診し、相談してみるとよいでしょう。