人間ドックで行った腹部エコー検査で胆嚢内に結石がある(胆石症)と言われた方がいらっしゃるかと思います。この場合、手術すべきか、薬で治療すべきが一度は考えたことがあるかもしれません。
一般に胆石症による痛みの症状がない人は手術を受ける必要はありません。しかし小さな胆石がたくさんある人や、胆嚢管(胆嚢と胆管をつなぐ管)に胆石がつまっている人、胆嚢の働きが失われている人などは、将来的に痛みが発症する危険性が高いと言われています。また薬による治療に関しても、大きな結石であれば胆石を溶かすことは難しく、治療により一旦胆石がなくなったとしても、再発のリスクもあるため、長期間薬を飲み続けなければなりません。
胆石による痛みは、食後、特に油っこいものを食べた後におこることが多いと言われています。痛みの部位はみぞおちから右の上腹部で、我慢できない痛みのこともあれば、重い感じのこともあり、数時間で消えてしまうこともあります。胆石があるからといって必ず痛みがでるわけではありませんが、痛みがでたことがある人は症状を繰り返す可能性があり、薬による治療よりも手術が望ましいと思われます。
また胆石をもっている人はがんになりやすいのではと心配されている方もいらっしゃるかもしれませんが、はっきりとした結果は得られていません。しかし、①胆石が大きい、②胆石の数が多い、③胆石による痛みなどの症状がある、④胆石と診断されたからの期間が長い、などこれらの条件にあてはまる方は、胆嚢がんになる可能性があると言われています。
いずれにしても、症状の有無に関わらず胆石症があると言われた方は、一度専門医にみていただき、定期的に腹部エコー検査などで経過観察した方が望ましいと思われます。