内科医として診療を行っていると、頻尿、尿意切迫感などの排尿異常の相談を受けることがあります。専門ではありませんので、簡単にではありますが、過活動膀胱を中心とした排尿トラブルについて説明したいと思います。
トイレが近い(頻尿)という症状の原因は実に多くあります。膀胱炎などの尿路感染症、前立腺肥大症、腹圧性尿失禁、結石や腫瘍などの泌尿器科疾患の他に、糖尿病や脳梗塞後遺症などの内科的疾患、利尿剤などの副作用、過剰な水分摂取なども考えれらます。検査をしてもこれらの病気がみつからなかったり、原因と思われる病気の治療しても症状が改善しない場合に、過活動膀胱といわれる状態が関わっていることがあります。
一般に腎臓で作られた尿は膀胱で一時的に溜められ、膀胱が尿で一杯になると尿として排出されます。通常は膀胱や尿道のまわりの排尿筋や尿道括約筋の働きで尿が漏れ出さないようになっていますが、この一連の仕組みのどこかでうまくいかなくなると排尿トラブルが生じます。過活動膀胱は膀胱に尿があまり溜まっていないのに急に尿意を催して頻尿となる病気です。症状は頻尿や尿意切迫感、尿失禁などがあげられます。一方で、もう一つのよく知られた病気である前立腺肥大症に関してですが、前立腺が肥大することで尿道が圧迫され、排尿困難や残尿感、頻尿、尿意切迫感など過活動膀胱と似た症状を呈します。前立腺肥大症の約50~75%に過活動膀胱を合併するとも言われおり、このような症状があれば、泌尿器科など専門医に相談してみるといいです。また過活動膀胱の原因ははっきりしておらず、脳血管障害やパーキンソン病、脊髄損傷、多発性硬化症などの脳神経疾患、加齢やストレスが関わっているとも言われています。
治療としては膀胱の収縮を抑えたり、拡張を促したりする作用のある薬を使用し、膀胱に多く尿が溜められるようににして、尿意切迫感などの症状の改善を期待します。また過剰な水分やカフェイン摂取を控えるといった生活指導や膀胱訓練や骨盤底筋体操などの行動療法も効果があると言われています。