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ヘリコバクター・ピロリ菌を除菌を行い、除菌後に治療成功を確認したのにも関わらず、その後血液検査でのヘリコバクター・ピロリ抗体検査で陽性と診断され、当院に受診される患者様がいらっしゃいます。
血液検査での抗体検査は、他の血液検査と一緒にでき簡便なため、健診などで使用されることが多いのですが、除菌後しばらくは陽性になることがあると言われています。抗体の量(抗体価)は時間とともに減少し、除菌が成功していれば陰性化しますが、1年以上かかることもあります。一般に抗体価が3U/ml未満はピロリ菌陰性、10U/ml以上は陽性と診断されますが、3~10U/mlの場合はいずれの場合も含まれてくるため注意が必要です。この場合約20%弱がピロリ菌陽性となると言われており、尿素呼気試験など他の検査を追加して調べる必要があります。
実際にどの検査が除菌効果判定に有用かについては、日本消化器病学会のQ&Aにおいて、尿素呼気試験や便中抗原検査が信頼度が高く、除菌治療終了後4週以降に推奨されています。しかしネキシウムやラベプラゾールなどのプロトンポンプ阻害薬を内服している場合は偽陰性となる可能性があるため、2週間以上の休薬が必要と言われています。
除菌成功後の再感染率は年間1%未満と非常に稀で、再感染がおこるとしても除菌後1年以上経過してからと言われています。実際、除菌成功後にピロリ菌陽性と診断された場合、除菌効果判定検査の時期などの問題で偽陰性となり、その後菌量が増加する「再陽性化」が多く含まれることも考えなければなりません。このため除菌成功がしっかりできていれば、内視鏡検査などで萎縮の進行がみられるなど特殊な場合を除いて、あえて除菌判定を再度行う必要はないと思われます。いずれにしても除菌成功の有無に関われず、定期的な内視鏡検査を行うことで胃がんの早期発見に努める必要があります。