今回は当院で行っている大腸ポリープ切除についてお話したいと思います。
当院では大腸内視鏡検査で大腸ポリープが見つかったとき、同時に切除することが可能です。大腸ポリープは腫瘍性と非腫瘍性、さらに腫瘍性はがんと腺腫に分けられます。大腸がんは腺腫からがんに変わっていく場合と、腺腫を経由せずにいきなりがんになる場合がありますが、腺腫の段階でポリープを切除することで、大腸がんを予防することができます。
一般に大腸ポリープは特に症状はありませんので、定期的に大腸内視鏡検査を行わないと腺腫の段階でポリープを切除することは困難です。以前お話した大腸がんのリスク因子がある方は早めに検査を受けていただいたほうがいいでしょう。また大腸がん検診で行う便潜血検査においても、進行大腸がんであっても約30%の方は検査で陰性となりますので、大腸がんスクリーニングの精度としてはそこまで高くないことも留意しておく必要があります。
一般に大腸ポリープを見つけたら、内視鏡の拡大機能を使用して、腫瘍性なのか非腫瘍性なのか、腫瘍性であればがんなのか腺腫なのかを診断します。がんであっても、腫瘍の大きさやがんの根の深さから内視鏡治療が可能な場合もありますので、しっかりと観察していきます。
当院では6mm以上の良性ポリープ(腺腫など)を切除していますが、当院で行っている大腸ポリープ切除の方法は、①ポリペクトミー、②EMR(内視鏡的粘膜切除術)、③コールドスネアポリペクトミーの3つがあります。①はポリープの茎にスネアという金属の輪をかけて、高周波電流を流して切り取る方法で、茎のある形のポリープが適応になります。②は病変の下に薬液を注入し、病変を持ち上げ、スネアをかけて切り取る方法で、茎のない平坦な形のポリープが適応になります。③は茎がないポリープに②のように薬液を注入せず、スネアをかけて通電せずに切り取る方法で、10mm未満のポリープが適応となります。当院でも③による治療を行うことが最近増えていますが、出血や穿孔(大腸に穴が開く)といった合併症も少ない印象を受けます。
また概ね2cm以上の一括切除困難なポリープに対しては、ESD(粘膜下層剥離術)という専用の電気メスで周囲を切開し、病変を少しずつ剥離していく方法で治療する必要があります。この治療は入院が必要であり、ESDによる治療が必要な場合は入院可能な総合病院に紹介させていただいています。
最後に大腸ポリープ切除後の注意点として、治療した当日は自宅なるべく安静にし、消化のよい食事を行い、しばらくは飲酒や運動はお控えください。約0.5%とまれに出血や穿孔(大腸に穴があくこと)などの合併症を起こすことがあります。出血は治療後数日たって起こることもありますので、何かあれば電話などで相談ください。