以前ヘリコバクター・ピロリ菌がいると胃がんのリスクが高まり、除菌を行うことで胃がんのリスクが減ることなどをブログでお話しました。
ピロリ菌の検査を行うには、保険診療上胃カメラが必要です。胃カメラをする際には、ピロリ菌に感染した際にみられる特徴的な所見(胃粘膜発赤やひだの腫大、粘液の付着など)を確認し、ピロリ菌に感染していることが予想されれば、胃炎や胃粘膜萎縮がどの程度進行しているのか、胃がんが混在していないかをしっかり観察します。
一方で胃カメラの際に萎縮性変化が残っていながらも、地図上の発赤粘膜やびらんなどピロリ菌を除菌した後にみられる所見もよく遭遇します。除菌後にも一定数胃がんは発生する(除菌後胃がん)ことは知られていますが、除菌により胃がんの表面に正常上皮が覆ったり、がん細胞の分化が変化することで、胃がんが分かりにくくなるとも言われています。
近年ピロリ菌の感染率が急激に低下したことなどから、ピロリ菌未感染胃がんに遭遇する機会が増えてきました。ピロリ菌未感染胃がんの頻度は約1%と少ないながら、胃カメラで非常に発見しにくいといったピロリ菌感染胃がんとは異なる特徴があります。
いずれのがんも分かりにくいといった特徴があるものの、内視鏡専門医がしっかりと検査を行うことで早期に発見することは可能です。ピロリ菌がいないから、除菌したからと安心せず、定期的に胃カメラを行っていきましょう。