新型コロナウイルス感染症についてですが、今回が最終編、治療についてです。
新型コロナウイルス感染症の症状は無症状からインフルエンザ様の呼吸器症状、肺炎への進行と幅広く、治療に関しては患者様の重症化リスク因子を把握しつつ、日々重症度や合併症などを迅速に判断し、入院の適応、治療薬の内容やタイミングを決定する必要があります。
軽症では解熱剤や鎮咳薬などの対症療法のみで軽快しますが、急速に病状が悪化することもあるため注意が必要です。重症化リスクのある方は軽症の時点で中和抗体薬(カシリビマブ/イムデビマブ)の適応があると言われており、今後は宿泊療養施設やクリニックなどで早期治療を行っていくことになるでしょう。また十分な栄養を摂取し、脱水症には注意していく必要があります。
中等症以上は入院治療が必要となり、中等症Iの時点で抗ウイルス薬であるレムデシビル、中等症II以上となるとステロイド薬(デキサメタゾンなど)の投与が推奨されています。また血栓塞栓症の合併には注意し、抗凝固療法を考慮する必要があります。
重症については人工呼吸管理などの集中治療となりますが、重症にならないよう早期に治療を開始することが最も重要です。
新型コロナウイルスの流行が始まってから1年経過し、治療法の確立ができ、救命できるようになってきたことは喜ばしいことと思われます。しかし感染が流行すると、病床が逼迫することで自宅療養者が増加し、適切な医療ができなくなることが問題となっています。重症化リスクのある軽症の患者を早期に治療できる体制作りが必要です。日々状況が変わってきていますが。当院でも対応できることは引き続き行ってまいりたいと思います。