健診の胃カメラやバリウム検査で胃にポリープを指摘されたことがある方がいらっしゃるかと思います。
胃のポリープは大まかには過形成性ポリープと胃底腺ポリープの2つに分けられます。過形成性ポリープは赤みがあるポリープで、ヘリコバクター・ピロリ菌に感染した萎縮性胃炎にみられることが多いポリープです。ポリープは単発でみられたり、多発したりと様々ですが、ピロリ菌の除菌治療で、ポリープが縮小または消失したという報告があります。一方で、胃底腺ポリープは胃の粘膜と同色調のポリープで、ピロリ菌のいないきれいな胃に多発します。PPIなどの胃酸を抑える薬を内服しているとポリープが大きくなったり、数が増えたりするといった報告があります。
いずれのポリープもがん化のリスクは低く、過形成性ポリープの方が胃底腺ポリープよりも若干がん化のリスクは高いと言われています。過形成性ポリープは増大傾向があり、がんの可能性があるものや、出血し貧血の原因となるものは内視鏡切除の適応といわれており、過形成性ポリープがある方は、年に1回程度の内視鏡検査が推奨されています。胃底腺ポリープはがん化や出血のリスクが低いことを考えると、数年に1回の検査でいいかもしれません。
一方で、大腸ポリープの多くは腺腫と言われるもので、いずれ大腸がんになる可能性があるため、6mm以上の腺腫では内視鏡切除が必要となり、当院でも積極的に内視鏡治療を行っています。このように胃のポリープに関して、大腸ポリープと同様にすぐに切除しないといけないと混同されている方も多いかと思われますが、胃と大腸とではポリープの性質は全く異なるものであることをご理解ください。