皆様は糖尿病という病気を聞いたことがあると思いますが、今回は糖尿病についてお話します。誰しも食事をすると一時的に血糖が上昇しますが、インスリンというホルモンが膵臓から出されることで、徐々に血糖は正常に戻っていきます。しかしインスリンの出す量が少なかったり、うまく働かなくなったりすると、血糖値が高い状態が続き、しまいには糖尿病になってしまいます。早朝空腹時血糖値126mg/dL以上、随時血糖値(食事と関係なく測定した血糖値)200mg/dL以上、HbA1c6.5%以上など、いずれかがあてはまる時には糖尿病が疑われます。糖尿病はいくつかの環境因子と、食べすぎや運動不足、ストレスなどの生活習慣が関わり発症すると言われています。
糖尿病は40歳以上、肥満・運動不足、家族に糖尿病の方がいる人に起こりやすく、症状はゆっくりと、少しづつあらわれてきます。実際には疲労感、頻尿、のどの渇き、体重減少、手足のしびれ、皮膚の乾燥といった症状です。
合併症予防の点からまずはHbA1c7.0%未満を目標に治療を開始しますが、それ以外にも血圧130/80mmHg未満、LDLコレステロール120mg/dL未満など高血圧症、脂質異常症に対しても厳密にコントロールする必要があります。また血糖値が高い状態が続くと、細い血管(毛細血管)がぼろぼろになり、網膜症や腎症、神経障害などの3大合併症を引き起こしてしまいます。
治療は基本の食事・運動療法を行い、2~3か月続けても改善が乏しい場合には薬などによる治療を行います。食事は①腹八分目に、②食品の種類は多く、③脂肪は控えめに、④食物繊維は多く、⑤1日3食きちんと、⑥ゆっくりよくかんで食べる、など食生活の習慣を改善し、自身の適切なエネルギー摂取量を理解していくことが重要です。また運動療法は歩行やジョギングなどの有酸素運動を中心に、歩行運動であれば1日30分程度行いましょう。糖尿病は合併症が多く、恐ろしい病気ですが、生活習慣を見直し、正しい治療を行えば、普通の人と変わらない生活を送れますので、一度検診などで自身の健康状態を確認してみてはいかがでしょうか。