以前機能性ディスペシア(FD)についてブログでお話しました。
新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、仕事や日常生活での自粛のためか、病院で診療していても、何となく胃がもたれる、痛いなどの症状を訴えられる患者さんをみることが多くなりました。胃カメラや腹部エコー検査で何も病気がみつからない場合、機能性ディスペシアの可能性があり、胃の運動機能異常、生活習慣、ストレス、胃の知覚過敏などが原因として考えられると記載しました。
今回は機能性ディスペシアの治療などについてさらに詳しくお話したいと思います。
機能性ディスペシアの症状がでるには主に2つのことが原因と考えられています。一つは胃の働きの異常を症状として感じる場合と、胃の働きを敏感に感じて症状が出る場合です。後者は患者さんがストレスなどにより様々な刺激に対して敏感になっていることで症状が出現します。機能性ディスペシアの治療はこの2つの原因に対する治療が必要になります。
胃の働きを改善するには胃酸を抑え、胃の運動をよくする必要があり、酸分泌抑制薬と消化管運動機能改善薬を用います。一方で胃の働きに脳が敏感になっている場合、一部の抗不安薬や抗うつ薬に症状の改善効果があると言われています。また漢方薬の中には胃の動きを改善したり、食欲を増す作用がある薬があり、症状が改善することがあります。
しかしどの薬が合うのかは個人差があり、すぐに効果のある特効薬はありません。色々な薬を試しつつ、医師と相談しつつ治療をすすめていく必要があります。一旦よくなっても再発のリスクも高いため、生活習慣や食生活の改善、内服治療を行いつつ、医師との信頼関係を築きあげていくことが重要です。