今回は貧血、とりわけ最もよくみられる鉄欠乏性貧血について、特に食事の注意点などについてお話したいと思います。
鉄欠乏性貧血は体内の貯蔵鉄が枯渇し、赤血球造血に必要な鉄が骨髄の造血系に供給されなくなるために発症します。つまり鉄の需要が増大しているとき、とりわけ月経や消化管の出血など慢性の出血がある場合に生じることが多いと言われています。反対に鉄の供給が不足しているときにも鉄欠乏となり、多くの場合は食事からの摂取量が不十分なときにおきると言われています。またヘリコバクター・ピロリ菌感染による萎縮性胃炎では、消化管からの鉄の吸収率が低下し,体内に取り込まれる鉄は減少すると言われています。
鉄欠乏性貧血に対する食事の基本は、体に必要な栄養素をバランスよく摂取することが重要で、必要なエネルギーを摂り,たんぱく質・糖質・脂質・ミネラル・ビタミンを1日3回の食事に満遍なく取り入れるようにする必要があります。「鉄を補充するにはどのようなものを食べたらいいですか」と聞かれることがありますが、肉(牛、豚、鶏)、レバー、赤みの魚、海藻類、ほうれん草や小松菜、ニラなどの野菜、大豆、ごまなどに鉄は多く含まれ、果物やジュースと一緒に摂取すると吸収率は上昇すると言われています。また緑茶,コーヒー,紅茶に含まれるタンニンは鉄の吸収を妨げるので,食事中や食後はこれらを多量に飲むのは控えた方がいいでしょう。
鉄欠乏性貧血と診断されたら、症状や貧血の程度に応じて治療が異なってきます。貧血の原因をつきとめつつ、主治医と相談の上、治療方針を決める必要があるでしょう。