近年、ヘリコバクター・ピロリ菌に感染にしていない胃にできる胃がんとして、胃底腺型胃癌が注目されています。
胃底腺型胃癌は2010年に日本で提唱された比較的新しい胃がんであり、10%以上に胃底腺への分化を示すがんで、病理組織学的に胃底腺型腺癌と胃底腺粘膜型腺癌に分類されます。通常ピロリ菌に感染し、萎縮性胃炎、腸上皮化生(胃粘膜の上皮が腸の上皮に置きかわる)を併発することで、胃がんが発生します。胃底腺とは胃の上部~中部を占める外分泌腺で、ピロリ感染から萎縮性胃炎、腸上皮化生といった過程がないと、通常は胃がんができない領域と考えられています。
胃底腺型腺癌に特徴は表面が腫瘍でない上皮の覆われており、そのため白色調の粘膜下腫瘍様の隆起を呈し、がんと診断するのが困難であると言われています。一方で表面に腫瘍が露出しているものを胃底腺粘膜型腺癌と言い、発赤調の病変が多く、腫瘍として認識しやすく、腫瘍も大きい傾向にあります。胃底腺型胃癌は胃がんの発育は遅く、転移はみられないことが多いため、低悪性度の腫瘍と考えられていますが、胃底腺粘膜型腺癌は転移がある症例もみられ、胃底腺型腺癌と比較して悪性度が高いと考えられています。
胃底腺型胃癌はピロリ未感染胃から発生する胃がんのトピックスの一つですが、発がん経路はまだ解明されておらず、予後なども含めて今後の報告が期待されます。また胃底腺型胃癌の診断は難しく、内視鏡医は内視鏡検査時に見落としがないよう注意し、この疾患の特徴を病理医とともに理解していく必要があります。