様々ながんで使用されている免疫チェックポイント阻害剤は腫瘍細胞に対する免疫反応を活性化することにより抗腫瘍効果を発揮するものですが、様々な免疫関連有害事象(irAE)を誘発することが知られています。腸炎はirAE の中でも頻度が高く、注意が必要です。今回はこのまれな腸炎についてお話したいと思います。
irAE 腸炎は初回治療後1ヶ月程度経過した頃に下痢で発症することが多いと言われています。下痢以外にも腹痛,血便などを認めることもあり、重症例では穿孔をきたす症例もあり早期の診断、治療が必要となります。通常の抗がん剤による下痢では止潟薬など対症療法で治療されるのに対し、irAE 腸炎ではステロイドなどの免疫抑制剤による治療が必要となることもあります。irAE 腸炎では,潰瘍性大腸炎に類似した特徴的な内視鏡所見から非特異的なものまであり、専門医による診断が不可欠です。治療法に関してですが、ステロイドで効果がない場合、抗TNF-α抗体であるインフリキシマブが推奨されており、治療法の観点からも潰瘍性大腸炎に類似していると思われます
がんの治療を行っている総合病院ではirAE腸炎に関して、重症度に応じた診断、治療方針を決めています。免疫チェックポイント阻害剤使用時に下痢や腹痛、血便などの症状があれば、速やかに主治医に相談することが最も重要です。