
炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病)の患者の診察を診察するにあって、排便回数や便性状、腹痛や発熱などの有無などを問診し、治療評価を行っていますが、炎症性腸疾患は過敏性腸症候群を合併することも多く、時には感染性腸炎を併発することもあり、炎症性腸疾患が再燃したのかどうかなど判断に難渋することがあります。内視鏡検査を行えば評価は容易でですが、誰しもなるべく内視鏡検査を行いたくないのが実情ですので、これまでは血液検査でのCRPや血小板値などを参考にしていました。
しかしながら、特に潰瘍性大腸炎ではCRPが上昇していないのにも関わらず、疾患活動性が高い症例も多くみられます。これらの問題を解決するために血清バイオマーカーであるLRGや便中カルプロテクチンが最近注目されています。
LRGはCRPより鋭敏な炎症マーカーで、3ヶ月に1回ですが、血液検査で潰瘍性大腸炎の活動性を評価することができます。特に寛解状態の潰瘍性大腸炎が再燃した際に有用と言われています。一方で潰瘍性大腸炎の治療目標である粘膜治癒に関しては、便中カルプロテクチンの方が有用です。
いずれの検査も内視鏡検査に勝るものではないため、患者さんと相談の上、内視鏡検査やCRPやLRGなどの血液検査、糞便検査をうまく使い分けていく必要があると思われます。