以前大腸ポリープ切除についてブログで記載し、腺腫(せんしゅ)の段階で内視鏡治療を行う必要性を説明しました。
今回は少し掘り下げて、大腸ポリープの種類と治療について説明したいと思います。従来、大腸がんの発生経路には腺腫(せんしゅ)からがんになる経路と、腺腫を経ずに小さながんが発生する経路が考えられてきました。大腸内視鏡検査を行い、腺腫の段階で内視鏡治療を行うことが推奨されていますが、ガイドライン上、6mm以上の腺腫は内視鏡治療の適応とされています。実は腺腫以外にも内視鏡治療が必要なポリープがあり、近年これまで良性と考えられてきた過形成性ポリープなどの鋸歯(きょしじょう)状病変から、がんが発生することが明らかになってきました。
鋸歯状病変は過形成性ポリープ、鋸歯状腺腫、鋸歯状ポリープに分類されます。過形成性ポリープは直腸やS状結腸にみられることが多く、5mm以下の病変はがんになるリスクが低いため、経過観察でいいと考えられています。鋸歯状腺腫の詳しい説明は省きますが、腺腫と名前がついているように腺腫と同様に扱う必要があります。近年注目されているのが、鋸歯状ポリープで見た目は過形成性ポリープと似ていますが、過形成性ポリープより大きく、盲腸や上行結腸などの右側結腸に発生する特徴があります。腺腫から発生したがんとは異なった遺伝子異常による発がん経路が分かっており、積極的に内視鏡治療を行っていく必要があります。
少し難しい話でしたが、当院では大腸内視鏡検査を行い、大腸ポリープが見つかった際には、どの種類のポリープに該当し、治療適応があるのかを判断しています。