薬剤が原因の消化管障害、2回目はcollagenous colitisです。
英語名で難しい病名であるcollagenous colitisですが、慢性的な下痢を起こし、組織学上大腸上皮直下に膠原繊維帯やリンパ球などの炎症細胞浸潤を認める病気です。胃潰瘍や逆流性食道炎で使用するプロトンポンプ阻害薬(PPI)や鎮痛剤、抗炎症薬として使用される非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などの薬剤が原因であることが多いものの、いまだ原因は不明で、遺伝性や感染症、胆汁酸吸収不良、一酸化窒素などの関わりも示唆されています。PPIの中でランソプラゾール(タケプロン)が圧倒的に多いものの、エソメプラゾール(ネキシウム)の報告例もみられています。ランソプラゾールが多い原因として、薬剤の代謝の影響が示唆されており、睡眠導入薬や脂質異常症薬、NSAIDsを一緒に内服しているとcollagenous colitisを発症しやすくなると言われています。
確定診断のためには大腸内視鏡検査が必要で、大腸に細長い縦走潰瘍がみられることが特徴的と言われていますが、全症例にみられるわけではありません。その他には顆粒状変化や発赤粘膜、毛細血管増生などの報告が多いものの、特徴的な内視鏡所見には乏しく、組織検査を行えば確定診断可能です。また一般に薬剤を中止することで症状は速やかに改善します。
慢性的な下痢があり、ランソプラゾールなどの薬剤を内服を行っている場合、薬剤が原因の可能性があるといえますので、医師に相談ください。