頭痛に悩まれている方がいらっしゃるかと思います。今回は頭痛の中で若年~中年女性に多くみられる片頭痛についてお話したいと思います。
片頭痛は脈を打ったような拍動性の頭痛を繰り返し、吐き気や嘔吐、光や音に過敏になるなどの随伴症状を伴うことが特徴です。病名に「片」の文字が使用されているものの、約4割の片頭痛患者さんは両側性の頭痛を経験しています。片頭痛には前兆が出現することがあり、視覚に異常がみられることが多く、「光がチカチカする」「ジグザグの線が見える」と訴えられたり、視野の一部が欠けたりします。またストレスや気温・気候の変化、空腹、飲酒、女性ホルモンの変化などが発作の誘因となります。
片頭痛発作時の対処法として頭痛部位の冷却が有用で、運動や入浴、強い光、騒音が頭痛の増悪因子となるため、静かで暗い環境下で安静にして過ごすことが大切です。軽症~中等症の方はアセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などの鎮痛薬を使用します。NSAIDsなどの鎮痛薬で効果がない中等症~重症となるとトリプタンを使用します。
現在7種類のトリプタンが販売されており、片頭痛が高度になってからでも効果が期待でき、随伴症状も軽減させることができるため有用です。しかし悪心、嘔吐、めまい、のどや首の締め付け感などの副作用があり、トリプタンには血管を収縮させる作用があるため、心筋梗塞、虚血性心疾患、脳血管障害、コントロールされていない高血圧症の患者さんには禁忌となっています。またこれらの治療で効果が乏しい場合などには予防治療を検討すべきで、降圧剤であるロメリジンやプロプラノール、抗てんかん薬であるバルプロ酸、抗うつ薬であるアミトリプチリンなどが使用されています。
頭痛を起こす病気は片頭痛以外にも多くあります。頭痛がひどく、市販薬を頻繁に使用している方などは、一度医師にご相談ください。