高脂肪、低繊維食といった食生活の欧米化に伴い、大腸がんにかかる患者さんは年々増加していっています。また以前もお話ししましたが、肥満や運動不足などがあると大腸がんになりやすいと言われており、今後さらに増加していくものと思われます。
40歳代から大腸がんの発症率が高くなるため、北九州市では大腸がん検診として、年に1回40歳~69歳は500円、70歳以上は無料で、便潜血検査を行っています。便潜血検査で何が分かるのでしょうか?
大腸がんがあった場合、便にこすられたりしてがんから少量出血しますが、便をみて気づくことはほとんどないため、ごく少量の出血を検出するために行うのが便潜血検査となります。便潜血検査は複数回行った方が、大腸がんの検出率が高くなり、通常は2日間便を提出する手法を行っています。
便潜血検査で陽性を指摘された場合、大腸内視鏡検査などの精密検査が必要となりますが、便潜血検査で陰性だからといって、大腸がんや大腸ポリープがないとは言えません。進行大腸がんであっても約30%の人は便潜血検査で陰性となると言われており、反対に便潜血検査で陽性であっても病変が何も見つからない方もいらっしゃいます。後者の場合、痔があり検査のため便を出すときに出血したことが予想されますが、便潜血検査は大腸がんスクリーニングとしての精度はそこまで高くないと考えられています。
以前大腸ポリープを指摘されたことがある方は、例え大腸ポリープを切除したとしても、新たに大腸ポリープが出現する可能性や見逃した大腸ポリープが存在する可能性があるため、定期的に大腸内視鏡検査を行うことが望ましいと思われます。しかし、検査にふんぎりがつかない方もいらっしゃるかと思います。その場合は便潜血検査による大腸がん検診を定期的に受けてみてはいかがでしょうか。