新型コロナウイルス感染症の自粛活動のため、運動不足で体重が増えた、おなか周りの脂肪が気になると感じられている方がいるかと思います。今回は肥満と以外に関係のある消化器疾患についてお話したいと思います。
肥満は「脂肪組織の蓄積した状態」のことを言い、肥満の程度はBMIで測定します。健診などで聞いたことがあるかと思いますが、体重/身長²で表され、BMI25以上で肥満となります。
一方でメタボリックシンドロームと肥満はどう違うのでしょうか。肥満には内臓脂肪型肥満と皮下脂肪型肥満があり、メタボリックシンドロームは内臓脂肪型肥満を重視していますが、BMI25以上の肥満である必要はありません。内臓脂肪が蓄積すると、高血圧症、高脂血症、糖尿病の一歩手前であっても、動脈硬化が急速に進行して、心疾患や脳血管疾患といった重大な病気を引き起こしやすくなるため、早めに進行を予防する必要があります。メタボリックシンドロームの診断には、ウエスト周囲径が男性で85cm以上、女性で90cm以上であることに加え、高血圧、高脂血症、耐糖能異常(糖尿病)の動脈硬化のリスク3項目のうち、2項目以上あてはまれば該当します。
本題に入りますが、肥満と関係のある消化器疾患は脂肪肝、特に飲酒によらない脂肪肝(非アルコール性脂肪性肝疾患;NAFLD)や胃食道逆流症(GERD)がよく知らています。また膵臓がん、大腸がん、胃がんなどの消化器がんも起こしやすく、大腸がんの予防のため肉・脂質の摂取は控え、野菜類を適量摂取することが勧められています。
肥満の治療には3食をきちんと食べ、間食を控えるといった食事療法と、歩行やジョギング、水泳などの運動療法が重要です。肥満は循環器系疾患や悪性腫瘍など多くの病気に関わりがあります。まずは年に1回の定期検診を受け、肥満やメタボリックシンドロームにあたるか確認してみましょう。